世界を震撼させた新型コロナウイルス禍の下での生活から少しずつ日常を取り戻しつつある2022年だったが、ロシアによるウクライナ侵攻、安倍晋三元首相銃撃事件、世界的なインフレ状況と32年ぶりの円安など、まさに激動の年となった。
そんななか、『ONE PIECE FILM RED』『すずめの戸締まり』『劇場版 呪術廻戦0』と史上初の3本もの邦画作品が興行収入100億円突破という偉業を成し遂げ、さらに『シン・ゴジラ』庵野秀明と樋口真嗣コンビによる『シン・ウルトラマン』、大ヒット映画『キングダム』続編となる『キングダム2 遥かなる大地へ』と大型作品の公開が続き、いずれもヒットを記録。閉塞感が漂う日本社会の空気とは裏腹に、日本映画界では明るいニュースが続いた一年だったと言える。
が、それはそれとして、我らが愛する皆殺し案件たちは、相変わらずその需要に対する供給過多の状況を脱することはなく、この国の映画界では、安定した「皆殺しスパイラル」が年々慢性化している。地方映画、2・5次元映画、幸福映画、地域利権映画、謎めいた国際映画祭受賞作……「誰がこんな映画作ったんだよ!」と叫びたくなる奇々怪々な映画たちの祭典ワールドカップが開催、ブラボー!
そんなわけで、毎年恒例の大新年会、映画考現学の立場から発掘、解剖、保存する「皆殺し映画通信」がお届けする2022年の日本映画総まとめ! シネフィルの皆さま、どうぞご参加を!
※ゲストには、『DOMMUNE RADIOPEDIA MOVIE CYPHER』でも柳下さんと共演されている、映画評論家、イラストレーターの三留まゆみさんをお迎えし、お二人による皆殺し映画大放談はじめ、2022年ベストランキング映画なども発表予定です。
※生配信終了後にアーカイブ配信されます。2月25日(土)夜23時59分まで視聴可能です。
【出演者プロフィール】
柳下毅一郎(やなした・きいちろう)
1963年大阪生まれ。映画評論家・翻訳家。雑誌『宝島』の編集者を経てフリー。ガース柳下の筆名で『ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判』(洋泉社/文春文庫)を町山智浩と共著。著書『興行師たちの映画史 エクスプロイテーション・フィルム全史』(青土社)など多数。訳書にアラン・ムーア/ジェイセン・バロウズ『ネオノミコン』シリーズ、ジョン・ウォーターズ『ジョン・ウォーターズの地獄のアメリカ横断ヒッチハイク』(共に国書刊行会)、監訳書に<J・G・バラード短編全集>(東京創元社)など。
Twitter:@kiichiro
皆殺し映画通信 www.
三留 まゆみ(みとめ・まゆみ)
東京生まれ。イラストライター。自主映画を経て業界入り。描く、書く、話す、その他もろもろの映画よろず屋稼業。柳下毅一郎くんは「宝島」の2代目担当編集者((初代は町山智浩くん)。著書に「いりおもてやまねこなんかこわくない」(マンガ単行本/早坂みけ名義)、「三留まゆみの映画缶」、「ブライアン・デ・パルマ/World is Yours」(監修/柳下くんたちとの共著)など。